「想像するちから」 [読書]
「一万年の進化爆発」 [読書]
読み物としてはとても面白いが,どこまでが学術的に正しく,どこまでが推察なのかが,不明である.
「生物学的文明論」 [読書]
最初はサンゴ礁の生き物と生態系の話,次に生き物のデザイン(生き物は円柱形で,柔らかい),最後が生き物のサイズと時間の話である.それほど専門的な話は出てこないが,読みやすい.
本川氏は私が学生の頃から,NHK教育テレビの講座で歌を歌ったりして有名だった.生き物は円柱形の歌は今も頭の中に残っている.
「働かないアリに意義がある」 [読書]
著者は進化生物学を専門としており,社会性昆虫のなぞを解いている.たとえば,働かないアリがアリの集団の中に存在するのは有名だが,なぜ働きに差があるのか,そしてそのことが集団が生き残るのに実は有効であることを,研究例とともに示している.また,生き物は自分の血(遺伝子)を残していくことが目的であるのに,社会性昆虫が女王のみ出産し,働きアリやハチは出産しないことについても説明もある.新書で読みやすいのでおすすめだ.
「寄せの手筋200」 [読書]
「ガラパゴス化するする日本の製造業」 [読書]
本書は、半導体や家電において世界をリードしていた日本が、台湾や韓国企業に遅れをとってしまった原因を、豊富な図表を交えて説明している。日本の電子産業の凋落については、ガラパゴス諸島に例えて、日本市場の「ガラパゴス化」が主因であると説明している。ガラパゴス諸島での生物の独自の進化が世界の進化からは取り残されているように、携帯電話や液晶テレビにおいて世界の標準品より大幅に高いハイスペックの製品が売れる日本は、特殊な市場になっている。従って、日本企業は日本ではハイスペック製品で競争を行いつつ、世界では標準品で競争を強いられ、不利な状況に陥っているのだ。
ライバルである台湾の躍進については、台湾で製造という水平分業モデルが確立していること、韓国を代表する電子企業であるサムソン電子は、製品企画から設計、製造、販売まで行うモデルで成功している理由として、不況時にも積極的な設備投資をして競争力を高めたことを挙げている。
電子企業の調査が中心だが、自動車に関する話しもあり、いろいろと参考になった。
「脳内復活」 [読書]
「脳内復活」(グレッグ・D. ジェイコブス 著)を読んだ。邦題は、昔サンマーク出版から出ていた本に似た名前がついているが、原題は"THE ANCESTRAL MIND"であり、この本の中では、「太古の心」と訳されている。この本では、まず、「太古の心」の経路が網様体(覚醒状態を調整)→視床(情報の交通整理)→扁桃体(警報を発する)→視床下部(警報を全身に広める)であり、人間はそれに「考える心」が加わっていることを示している。そして、人間の「考える心」による、「太古の心」を押さえ込んでストレスを生み出す仕組みを説明している。そして後半は、『太古の心」を復活させる方法をいろいろと示している。「考える心」が生み出す悲観的な考えを小さくする方法や、笑い、人との触れ合い、一人でいる時間の勧めなどである。
「太古の心」の復活方法は、東洋医学、呼吸法、ヨガなどと近く、東洋人には受け入れやすい話しである。ただし、この本が説明すべき、「太古の心」と「考える心」の脳科学的な話しが、それほど詳しくないのが残念である。この本の説明だけでは、本当にそうなのか?との疑問が少し残った。
「「見る」とはどういうことか」 [読書]
「「見る」とはどういうことか」(藤田一郎著)を読んだ。この本は、「見る」ことに関する脳の働きをわかりやすく示そうとした本である。様々な錯視を紹介し、見ると言う行為は脳の働きであることを示したり、脳の一部の働きが壊れた人たちの調査から得られた、脳の各所の見る行為に対する働きを示している。また、サルを使った実験から得られた脳の働きなど、面白い話しがいろいろと紹介されている。最後の二章は、著者の専門領域で、なかなかわかりづらいが、研究のダイナミックさは伝わってくる。後ろ二章を除けば誰でも楽しく読めると思う。
「進化しすぎた脳」 [読書]
脳について少し勉強しようと思い、脳の本を何冊か買った。まずは、一番読みやすそうな本である、「進化しすぎた脳」(池谷裕二、講談社ブルーバックス)を読んだ。この本は、著者がコロンビア大学の客員研究員時代に、高校生相手に行った講義を、本に書き下ろしたものである。脳研究の最前線の話を、わかりやすく説明してあり、面白く読めた。
面白いと思った話を二つ挙げると、
・ラジコンネズミの話(ヒゲの触覚の脳部位と報酬系の脳部位に電極を刺し、刺激を与えることで、ネズミをコントロールすることが可能な話)
・「好きな時にボタンを押す」行為が自由意志ではなく、まず、ボタンを押す動作の指令の後、「ボタンを押そう」と言う意識が現れると言う話。
読みやすい本なので、誰にもお勧めできると思う。
「世界一やさしい問題解決の授業」 [読書]
出張の途中、駅の本屋の店頭で「世界一やさしい問題解決の授業」(渡辺健介、ダイヤモンド社)が平積みになっていたので、買って新幹線の中で読んでみた。この本は、著者がマッキンゼー勤務の中で学んだ問題解決の技術を、非常に簡単に、かつ、仕事をした経験のない高校生でもわかるように説明をしている。
この本の良いところは、「ロジックツリー」と言われる問題の原因などを分類していくやり方を上手に説明していることである。この本では、「ロジックツリー」を「分解の木」と表現している。そして、分け方として、マッキンゼーが考案したと言われるMECE(Mutual Exclusive Collectively Exhaustive、分けたそれぞれにダブりや漏れがないようにする方法)を、これも上手に説明しているのである。この本の価値は、ロジックツリーとMECEのわかりやすさにあると言える。
中高生向けと書いてあるが、大企業で若手がやらせられるQCサークルのテキストとしても使えると思う。