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日本の石油産業の脆弱性 [サイト・blog紹介]

 東京大学社会科学研究所の橘川武郎教授が行った「石油の安定的な供給の確保のための石油備蓄法等の一部を改正する等の法律案」に関する参考人意見をたまたまみつけた。この答弁において、日本の石油産業の脆弱性が述べられている。2001年4月の答弁であり、古いが、参考になるので、以下にまとめてみる。

・1999年時点で、アメリカの石油専門誌PIWが発表した世界の石油会社Top50に日本の会社は一社も入っていない。日本の石油会社は過多で過小である。
・政府の石油業界保護政策と石油公団による石油開発企業の乱立が石油産業の脆弱性を生み出した。
・規制緩和だけでは石油産業の脆弱性の解消にはつながらない。
・フランス・イタリア・スペインなどヨーロッパ非産油国が、政府が関与しながら、自国の石油会社を大きくした事例を見習い、次のような戦略を打つべきだ。
(1)時限を決めて政府が石油業界の体質強化のため支援
(2)上流部門(石油探索)においては、コア・エリアを確保することをめざし、戦略的に動く。
(3)上流部門と下流部門(石油精製〜販売)を垂直統合
(4)上流部門、下流部門とも水平統合

 まとめると、日本の石油会社各社を、石油探索をちゃんと行えて、精製販売の規模も大きい会社にまとめてしまえとのことである。 今、上流部門は、一社にまとまってきており、下流も統合まではいかないが、連携は進んでいる。そして、原油高のおかげで、経営も改善している。一方で、その下流との垂直統合はうまくいっていないようである。

 で、次の戦略はどうすべきかが問題である。今後、統合を進めていくだけで十分なのだろうか?たとえ、統合して体力がついたとしても、上流の石油探索が今後困難になる一方で、下流は日本国内はこれ以上パイが大きくなることは全く期待できない。

 ヨーロッパ非産油国の石油産業を見習った後は、日本の他の産業を見習うのも手である。日本を代表する産業の共通点は、世界を相手に商売していることである。石油産業も世界相手の商売を考えるべきである。もちろん、原油を日本以外で売るとか、作った石油製品を輸出するなどの単純なものでは商売は成り立たないので、相当頭をひねらないといけないであろうが。


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